写真日乗2014/03/26~歌集を読んで (3) ~ [Summicron 35mm f2 ASPH 第5世代]
『日時計』沙羅みなみ歌集
心象を五句に乗せる技に感服、自由詩のようで短歌である。
巻頭の歌は特に印象深い。
そうしなくてよかったのかはわからない。光は、けれど時おりそよぐ
いくつかの領域を行き来する作者は、感じ考え続けなければならない宿命を背負う。
そうであることとそうではないことの間(あわい)はつねに淡く隔たる
てのひらに雪はつめたく心地よく境界線は引き直された
具象性の薄い作品では、遠い昔、ハイネの邦訳に出会った時の記憶を呼び覚される
内に潜む全ての葛藤織り込んだタペストリーのような夢見る
月かげに蒼く照らされ横たわるわたくしのいない私の体
暗喩の歌も多いが、手がかりは十分にある。
てのひらにつよく渦巻くこの水は北の岸より流れ着きたり
沈まない月のあかるさてのひらを水はやさしく零れていった
(青磁社)
撮影;2014/03/27 東京・神田
Leica M Monoichrome Summicron-M 35mm f2.0 ASPH.
2014-03-31 19:20
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