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菅義偉という人 [日記]

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新しい自民党総裁、すなわち日本の総理大臣が来週、決まる。久方ぶりに東北出身の総理大臣が誕生しそうな情勢だ。菅義偉氏の選挙区は、横浜である。しかし、その風貌、発話のイントネーションから、横浜出身ではないことは容易に分かる。

秋田県湯沢近くの農家の生まれ、長男でありながら、父親の農業大学校進学の薦めを蹴って上京、働きながら法政大学の夜間に通い卒業。その後、横浜に地盤を持つ衆議院議員、故小此木彦三朗氏の秘書となり、横浜市議会議員に当選。小選挙区制導入による分区により、小此木氏の地盤を一部、引き継ぐかたちで国政への進出を実現した。

それらの経緯、事情を、小此木氏の選挙区で育った私は、節目節目で知らされてきたが、一般の国民は知らないことばかりではないかと思う。正に、地方出身者の立身出世物語なのである。

自民党の議員の多くは、父や祖父の地盤を長年、引き継いできた2世、3世議員が多い。選挙区は地方であるが、育ったのは東京という者がほとんどである。もうすぐ退任する安倍総理は、東京生まれ、成蹊小学校から大学までエスカレータであがるだけの経歴である。選挙区山口のことは知らない都会育ちのお坊ちゃまである。

菅氏は、総裁選出馬表明に当たって、「長男だったが、農業をやりたくなかったから秋田を出た」とはっきり言っていた。今でもそれはなかなか許されることではないだろう。朝ドラで今、放映されている「エール」の主人公、古関裕而も家業の呉服店を継ぐはずだった長男である。音楽の道を選び、東京に出てきた経緯は、ドラマでは誇張されてはいたが、地方の長男の実像を示している。

そういうかたちで地方は、数多の優秀な人材を失ってきた。それが明治から大正、昭和と東京への一極集中が続く中で加速し、地方の活性化だ、創生だと声高に政治家が叫んでも進まない状況が続いて、今日に至っている。

菅氏は、地方創生を一つの政策の目玉にしようとしているようだが、地方創生の担い手は、東京の中央省庁の官僚ではない。財政的な手当をすれば、地方自治体は動きやすくなるというが、肝心の担い手、特に優秀な人材が地方を捨てている状況では、今日、一層強まっている地方消滅の流れは止められないだろう。

職業選択も居住も自由の国にあって、子供が東京に行くことを止められない社会状況をそのまま体現している菅氏ができることは、一体何なのだろう。私には想像がつかない。

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