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写真日乗2016/05/23~團菊祭の格~ [Leica Q]

L1010383ver3
撮影:2016/05/23 於:東京・大手町
Leica Q Summilux 28mm f1.7

一昨日観に行った歌舞伎座の公演は、「冥土の土産」としての歌舞伎観劇のあり様について書いたが、その内容といえば、少なくとも昼の部は、團菊祭にしては、いまひとつ格が感じられない出来だったように思う。

一番良かったのは、團菊祭では定番となっている「寺子屋」だが、武部を勤めた松緑がきっちり型を披露、頷きながら見ることができた。渡辺保氏の分類に依れば、歌舞伎役者には、「芸格」「芸品」「芸容」「芸の味」「芸境」が必要なのだが、松緑は、「芸容」があり「芸の味」もじわじわ出てきた。
しかし、松王丸の海老蔵は、そのいずれもまだ薄い。しかも、台詞を歌いすぎる感がある。好き嫌いのレベルを超え、明らかにやりすぎであった。また、この役のポイントである「桜丸が不憫でござる」というあたりはリアリティがなく、我慢がならなかったほどである。戸浪の梅枝は、もちろんまだまだという感じだが、間違いなく勤めてはいる。問題は、千代の菊之助である。初役ではないのに、違和感を感じる部分が多い。それは後述するように、立役を同じ昼の部で勤めているからか、武士の女房になりきっていない。
最初にかけられた「鵺退治」は特に面白いものではなかったし、「十六夜清心」は、全七幕のほんの一部だけを見せられても感動はわかない。僧侶ながら遊女と心中を図るというお話は、黙阿弥らしいものだが、やはり通しで見ないと、話に立体的に見ることはできない。菊之助はこの芝居では立役だが、女形のような雰囲気で、「寺子屋」とは逆の違和感を感じた。やはり歌舞伎は、性差をわかりやすく示さないといけない。


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