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写真日乗2016/11/22~芝翫襲名披露公演2カ月目~ [Leica Q]

L1030702ver3
撮影:2016/11/22 於:東京・歌舞伎座
Leica Q Summilux 28mm f1.7

芝翫襲名披露公演は2カ月目、夜の部を観に行った。夜の部には口上があるが、今回は国立劇場に出ている音羽屋、萬屋、播磨屋に代わり、高麗屋、松嶋屋、高島屋などの幹部俳優が登場、いろいろ面白く聴いた。

特に左團次の口上は、芝翫の芸奴との関係を話題としたものだったが、「私はここ何年も色恋には無縁でして、それは私の不徳の致すところでございます」と述べ大うけだった。歌舞伎役者は、徳がないと女にもてないということか。
それはさておき、襲名狂言は、「盛綱陣屋」である。ちょうどNHKの大河ドラマが「真田丸」であり、それに合わせたわけでもあるまいが、仲の良い兄弟が敵味方に分かれて戦う悲劇を、北条時政の時代に移して描いたものだ。芝翫の盛綱も幸四郎の和田兵衛も立派で、すばらしい狂言となったが、何せこの話は重すぎる。時代物ではあるが、昭和初期に書かれた人形浄瑠璃をベースにしたものであり、菅原伝授手習鑑「寺子屋」では舞台裏で行われる子供の悲劇を舞台の上で、子供自身の切腹というかたちで見せてしまうグロテスクさは、歌舞伎に求められる非現実性が行き着くところまでいったことを物語っているように思う。
首実験では全く台詞がなく、それで弟の偽首であることを観る者に理解させる。それはそれは難しいことだろうが、小四郎を勤めた松緑の子、左近の好演で理解が進むという流れだった。微妙は秀太郎が勤めたが、声が小さくなってしまい、少々、頼りない感じがした。しかし、左近の指導は秀太郎に任されていたようで、情感溢れる場面になっていたと思う。篝火は時蔵であり、実に贅沢な舞台であった。
夜の部の冒頭は、真山青果の傑作「元禄忠臣蔵」のうち「御浜御殿豊綱卿」であった。仁左衛門の豊綱はまさにはまり役で、これまでの経験に裏打ちされたすばらしいものだった。迷える豊綱の実の姿を目の前で見ているようで、忠臣蔵ファンとして溜飲が下がった気分になった。その相手役となった冨森助右衛門は染五郎だが、この人はニンではない。頑張ってはいたが、もう少し理知的なかたちで、新しい助右衛門像を見せてもよかったのではないか。いずれは豊綱をやるだろうから、良い経験になったに違いない。
最後の演目は「芝翫奴」である。新しい橋之助の懸命の舞台だったが、疲れからか切れが感じられなかったのが残念だった。


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