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写真日乗2018/05/10〜今年の熱狂の日音楽祭〜 [日記]

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撮影:2018/05/04 於:東京国際フォーラム
SONY RX100Ⅲ

今年のテーマは、「Un Mond Nouveau」である。新しい世界で異文化との出会い生まれた、新しい音楽の境地というところだろうか。

21世紀は、民族弾圧の世紀だったといえる。その代表例が、ナチスドイツによるユダヤ人の迫害、虐殺である。ナチを恐れ、ヨーロッパに広く居住していたユダヤ人が米国などの新しい世界に移住した。

かつて、ユダヤ人がいなくなると、音楽ができなくなるという逸話もあったほど、ユダヤ人の音楽的素養は高く、ユダヤ人音楽家の流出は、ヨーロッパの音楽界にとって大きな損失だったろうが、今回の熱狂の日の音楽祭の見立てのように、クラシック音楽の世界では、新しい境地から斬新な音楽が誕生するきっかけをつくったともいえるのだろう。

私は5月3日と4日の両日、5公演ほど聴いたが、各回の演奏以上に驚いたのは、無料コンサートとして子ども向けに行われた音楽劇「ミヨーさんと行く!新しい世界への旅」であった。ダリウス・ミヨーはプロヴァンス地方で生まれた20世紀の音楽家、日本ではほぼ演奏されない音楽の作曲家である。

その彼は、裕福なユダヤ人の家庭に生まれ育ち、音楽医を学び、ナチの迫害を逃れてアメリカに移り住むまでも、ブラジルやイギリス、そしてアメリカなどに渡り、プロとして音楽活動を行っていた。身体が不自由な割に様々な地に赴き、多様性を体験しながら作風を拡げるという、当時では特異な音楽家だった。

その彼をテーマに、子ども向けの音楽劇を仕立てたわけだが、音楽自体は現代音楽あり、ブラジル風あり、アメリカのジャズに影響された音楽ありで、大人でもその世界を理解するのはなかなか難しい。

そうした難しいテーマの音楽祭を、三歳以上ならほぼ全てのコンサートが入場できるというのは素晴らしいことではあるが、クラシック音楽を日常的に聴いていない親が、何も分からず子どもを連れてきて、どれほどの成果があるのだろうかと考えてしまった。

もちろんコンサートの中には、著名な音楽家の楽曲もあったが、私が選んだ5公演の中にも、マチエイェフスキ(ベルリン生まれのポーランド人、1910-1998)、ガルシア=ロルカ(スペインの作曲家、劇作家、詩人、1898-1936)、チャビ(スペインの作曲家、1851-1909)、ブロッホ(スイス生まれのユダヤ人作曲家、音楽教育者、1880-1951)といった、おおよそ日本国内の有料コンサートでは取り上げられない作曲家の楽曲が含まれていて、音楽愛好家の私にはとても楽しめたが、親子ともどもコンサート体験が浅い人々には、理解が困難なものが多かったように思う。

冒頭取り上げたミヨーについては、わが家に全くディスクがなく、急遽、海外から取り寄せたが、私自身、もう少し事前勉強をして臨むべきだったと反省しているところである。


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