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写真日乗2013/02/16〜播磨屋の通し狂言はいかに〜 [Voightlander ULTRON 28mm f2.0]

L10011491

撮影:2013/02/16 東京・日比谷
Leica M Monochrome Voigtländer Ultron 28mm f2.0 VM

本年二度目の歌舞伎観劇。今日は、日生劇場で播磨屋の演しものである。前半は、染五郎の源九郎狐と福助の静御前の道行き「吉野山」、後半が黙阿弥の世話狂言である。後半の黙阿弥作は、「魚屋宗五郎」である。「魚屋宗五郎」といえば、黙阿弥のものでも、かなり頻繁に上演される江戸の世話物であるが、実は「新皿屋舗月雨暈」という「番長皿屋敷」を下敷きにしたものである。話は、旗本磯部主計之助と魚屋の娘お蔦の恋物語が、ひょんなことから殺人劇に変わるというもので、その前半部分が完全にカットされたかたちで、「魚屋宗五郎」は普段、上演されている。
今回の上演では、通しにして、お蔦が疑われることとなった経緯や、お蔦惨殺のリアルな場面を組み込んだ。そうすることにより、この物語の立体感が格段に高まるであろうという狙いだが、それは見事に当たった。「魚屋宗五郎」だけなら、菊五郎/時蔵コンビのものが当代最高であることはいうまでもないが、前半部分の武家のお家乗っ取り騒動、主計之助お蔦殺害のあたりを観て、播磨屋が新たに通しとして取り組む意味は十分にあったと理解できる。染五郎が昨年の7月の大けがから復帰し、舞台に立てる喜びを十分に示した。その熱演にお蔦役の福助も乗りに乗っており、現代劇のようなスリリングさを醸し出していたと思う。
後半の「魚屋宗五郎」では、宗五郎役の幸四郎が、お蔦惨殺で断っていた酒を飲み酒乱となっていく姿がもちろん見物なのだが、酔いから醒めて、主計之助から詫びを入れられ、見舞金まで受け取り了見するあたりは、幸四郎ならではの、良い意味での軽さが際立っていて、このお話がハッピーエンドであることを納得できる仕掛けとなっていた。
こうして、通しで世話狂言を上演してもらえると、歌舞伎本来のダイナミックさが堪能できてとても嬉しい。新歌舞伎座でも、細切れ上演はこけら落としだけにしてほしい。


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