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写真日乗2015/02/02〜二つの幸運〜 [Nikon F2]

2014112422682079438494449

撮影:1974/03  石北本線・常紋峠
Nikon F2 Nikkor 50mm f1.4 Tri-X 400

この時期になると必ず思い出すのは、渡道、すなわち北海道に渡り、国鉄が最後まで営業運転で動かしていた蒸気機関車を撮影に行った頃のことである。今でも、JRだけではなく大井川鉄道や真岡鉄道が、動態保存している蒸気機関車を使って、観光列車の運行をしているが、当時は日常の鉄道輸送を担う存在として、非電化区間のローカル列車や貨物列車を牽引していたのが蒸気機関車であった。それも1970年代に入ると急速にディーゼル機関車に置き換わりつつあり、まさに風前の灯火を撮りに行くような気分での撮影行だった。
国鉄蒸気の終焉は、この写真を撮ったちょうど二年後のことであるが、全般検査というすべての機器を取り外し、仔細に調べる検査、略して「全検」の時期を迎えた蒸気機関車から、順次、廃車となり、新造のディーゼル機関車に置き換わっていった。この写真にも、その様子が見て取れる。先頭で牽引している機関車は誰でも知っているデゴイチ、すなわちD51であるが、峠越えのために後部に連結されている補機(補助機関車)は、DE10という型式のディーゼル機関車で、大正時代につくられた9600型という蒸気機関車を置き換えるために配属されたものである。
この一年前までは、補機も蒸気機関車であり、二条の煙が蒸気撮影の醍醐味を味わせてくれたのだが、それもないものねだりである。しかし、国鉄蒸気終焉の現場にこうして立ち会えたのだから、幸運であったと言わねばなるまい。
写真はいまやデジタルの時代であるが、気温の低い厳寒期の北海道で、こうした写真をものにするのは、バッテリィ等電気系統の問題で難しいかもしれない。当時は、機械式のカメラであり、寒さで撮影ができなかったという経験はほとんどなかった。撮った写真も、ネガフィルムがカビだらけでも、デジタル・スキャニング、画像ソフトでのレタッチを経てこうして蘇るのだから、これも幸運だといえよう。


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