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写真日乗2016/12/25~中村屋の新しい時代~ [日記]

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撮影:2016/12/25 於:東京・歌舞伎座
Ricoh GR

12月の歌舞伎座、国立劇場の「仮名手本忠臣蔵」を入れていたし、クラシック音楽のコンサートも多く、一度は見送ろうかと思ったが、勘九郎の松王を見たくて、3部制の2部のみ観た。

まず宇野信夫の「吹雪峠」である。 40分弱の1幕。
兄貴分・直吉の女房おえんと駆け落ちした助蔵の二人が吹雪の中で道に迷い、ようやく小屋にたどり着くところから始まる。命拾いをした二人のところに直吉が来る。三人の台詞劇、心理劇である。玉三郎が石川耕士と組んだ演出で、中車の直吉、松也の助蔵、七之助のおえんである。
演出は美しく、下座音楽のない、吹雪の音のみ。中車はこうした芝居はうまい。玉三郎がサポートしているせいか、しっかり歌舞伎役者となっている。
松也の助蔵と七之助のおえんは二人とも、ニンである。修羅場を演じる若い男と少し離れた女の情念、意外や意外、楽しめた。もう少し長い演出としても良かったのではないか。
次が「寺子屋」である。寺入りからある「寺子屋」だが、千代と小太郎が寺入りする場面が泣けた。もちろん、千代も小太郎が菅秀才の身代わりになることを予感させる七之助の千代はとても良かった。しかし、おちゃらけがうるさい。弘太郎の涎くりはなかなか良いが、二度おちゃらけをされると鼻につく。それに大笑いする客も客である。
最もニンだと思ったのは、勘九郎の松王。お父さんの芝居もDVDで観ているが、はるかに良い。こういうシリアスで大きな舞台が、この人に似合うことが今日理解できた。お父さんの得意だった江戸の世話物は、少し横に置いて、義太夫狂言の王道を歩んでほしい。
七之助の千代もとても良かったと思う。哀しさの表現がこの人はうまい。モダンな哀しさではあるが、現代人にこの悲劇を理解させるにはうってつけの千代である。
梅枝の戸浪は、そつがなく、この人が歌舞伎に欠かせない役者になってきたことを物語っている。松也の武部はまだまだであるが、二人のこのコンビは将来、看板になる可能性がある。
ということで、来年の歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」で、三代目中村勘太郎、二代目中村長三郎を名乗って、勘九郎の二人の息子、波野七緒八、波野哲之が初舞台を迎える。中村屋の新しい時代は、お父さんの残したもので切り開かれるのではもちろんない。勘九郎や七之助が今日のような芝居をやることで、歌舞伎ファンの信頼を得ていくことで叶うのだと思った。


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