写真日乗2017/03/20〜『伊賀越』の「岡崎」その1〜 [日記]
国立劇場に歌舞伎の『伊賀越道中双六』を観に行った。吉右衛門、歌六に加え、又五郎、雀衛右門、錦之助、菊之助、東蔵らの奏でる素晴らしい舞台であった。
ここ国立劇場では、2年前にもこのメンバーで、歌舞伎では長らく上演が途絶えていた「岡崎」を含む上演が行われたが、私はそれを観ていない。これほどの短い間隔で国立劇場が上演を決めたのは、もちろん吉右衛門の意向があるのだろう。
「沼津」単独でかかることの多くなった歌舞伎の『伊賀越』だが、その「沼津」でさえ、吉右衛門を超える芸を見せられる役者は仁左衛門くらいか。この壮大な狂言を後世に残すためにも、できうる範囲でやっておかなければならぬと吉右衛門が考えたのは当然である。
吉右衛門は、1月の歌舞伎座で「沼津」を演じている。呉服屋十兵衛は吉右衛門、沼津のはずれで出会った雲助の平作は歌六、その娘お米は雀右衛門で、『伊賀越』の固定メンバーともいえる役者でかけられた。これもまた名舞台であったが、例えば平成中村座で仁左衛門、勘三郎のコンビの「沼津」の軽妙な感じも捨てがたく、「沼津」はこれからも、中堅の役者が育っていくなかで、誰かしらが良い舞台をつくり上げそうな期待がある。
しかし、「岡崎」となると、その話の奇想天外さ、各役の心情の複雑さなどがあいまって、誰かがいつかはやるとしても、あまり確信が持てない、「誰かがいつかは・・・」というものなのである。政右衛門の実際の年は20代後半であろうから、その役を吉右衛門がやり続けるのは無理があり、二度続けて吉右衛門と共演した菊之助あたりに継いでもらいたい。
2017-03-23 21:24
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