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写真日乗2017/01/22~まさに「沼津」なり~ [日記]

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撮影:2017/01/22 於:東京・歌舞伎座
Leica Q Summilux 28mm f1.7

先週の大阪松竹座の感動が冷めないまま、1週間を過ごしたが、今週は歌舞伎座で新春歌舞伎のチケットを確保してあった。

ランニングのトレーニングが佳境となり、身体がかなりきつくなっている中で時間のやりくりも厳しく、今日は1幕目、染五郎、愛之助の「将軍江戸を去る」をパスして2幕目から観ることとした。
今年は、大政奉還から150年の記念年であり、真山青果の有名なこの作品が選ばれたのだが、私は團十郎さんが亡くなられる半年ほど前の、2012年7月、九代目中車襲名披露公演で團十郎さんが勤めた徳川慶喜が忘れられない。染五郎は二度目であり、いかにもニンではあるだろうけれども、記憶の上書きをしたくなくて、あえてパスしたという意味合いもある。
2幕目の「大津絵道成寺」から観始めたが、疲労もあってなかなか集中できず、退屈に感じてしまった。愛之助による五変化の舞踊で、藤娘も踊っており、なかなか魅力的ではある。實川延若が昭和40年に復活させ、近年では藤十郎が手がけてきた、現代歌舞伎の所作事だといえる。愛之助はそつなく5役を勤めていたが、訴える力はまだまだという感じであった。変化のたびに役の性根を入れ変える部分が難しいのだろう。こちらも初見でよく分からぬまま終わってしまったが、長唄と常磐津の華やかな音楽は新春らしく楽しめた。もう一度観てみれば、今日のようなことはないと思う。
今月の歌舞伎座のチケットを押さえたのは言うまでもなく、「沼津」を観るためである。「伊賀越え」全十段の六段目、平成の時代に入ってからでも14回目の公演といういから、大人気の狂言である。私は平成中村座での仁左衛門の十兵衛、勘三郎の平作を観ているが、播磨屋の座組の「沼津」は初めてである。
生き別れた親子の思いがけない再会と仇同士である因縁の暴露という歌舞伎らしい設定で、役の性根は場面ごとに複雑に揺れ動く。義太夫狂言ゆえ、義太夫の語りに乗る部分も多く、役者のしどころの多い芝居である。
今日は、二階の東桟敷のチケットを取ったが、平作住居の場から舞台に近いところで観なければ、そのしどころが理解できないと痛感した。歌舞伎座は舞台が広いが、平成中村座では狭い空間の比較的舞台に近いところで観ることができたので、彼我に違いを平作住居あたりから気づいた。オペラグラスを覗き凝視しながらの観劇はあまり好きではないが、義太夫の語りを聴きながら、吉右衛門、歌六、雀右衛門を交互に見続けた。これはもう、この先いつ見られるかという名演の極み、当代最高の「沼津」がつくりあげら瞬間に立ち会えたことだけでも幸せだというべきなのだろう。


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