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写真日乗2017/05/06〜熱狂の日音楽祭。その2〜 [Summilux-M 35mm f1.4 ASPH]

L1000519ver3
撮影:2017/05/05 於:東京・銀座
Leica M10 Summilux 35mm f1.4 ASPH.

引き続き、「熱狂の日音楽祭」の私が聴いたコンサートについて書く。

本日、唯一のホールCは2階席、先行抽選でとることのできた席だが、2階とは想像していなかった。他の小さな会場では前の方の列ばかりだったが、今回は2階なのである。しかし、それが良かった。
聴いたのはアルゼンチン生まれのイタリア人、バカロフの「ミサ・タンゴ」ほかだが、1933年生まれ、まだ存命の映画音楽なども手がける人気音楽家である。
バンドネオン(三浦一馬)が不思議な旋律を奏で、リズムはタンゴである。スペイン語のテキストの典礼文をバリトン(ガスパール・コロン)とメゾ・ソプラノ(池田香織)、それに男女の合唱(東響コーラス)が歌う。オーケストラは井上道義の指揮で新日本フィルハーモニー交響楽団だが、井上の統率で見通しの良い、それでいて深みのあるものに仕上げられていた。リハーサルがどのくらいの時間できたのか、最初は不安だったが、実にモダンで感動的な演奏だった。
この日、最後に聴いたのは、ホールB7での協奏曲である。最初に聴いた辻彩奈がソリストを務める楽曲も含めシューベルトの3曲である。指揮はスペイン人のロベルト・フォレス・ヴェセス。最初が「5つの舞曲」である。1813年作曲というからシューベルト10代半ばの楽曲、ハイドン風の舞曲だが、当時シューベルトはサリエリに師事しており、サリエリ風といっても良いかもしれない。宮中で演奏されるような雰囲気が漂う優雅な楽曲だが、オーヴェルニュ室内管弦楽団の緻密で穏やかなアンサンブルを楽しんだ。
辻のヴァイオリンが加わるのが「ヴァイオリンと弦楽のためのロンド」である。これは1816年作で、10代最後の作品群のなかの1曲ということができる。洗練された楽曲だが、ロンドゆえやはり少し退屈さは感じる。アダージョの序奏はシューベルトらしい。
最後が「5つのメヌエットと6つのロンド」である。これも最初の「5つの舞曲」と同じ10代半ばの楽曲で、変化に富んでいて優雅そのもの。3曲のなかでは一番、楽しめた。ホールB7は、かなり広い会場だが、私は中央やや右側の2列目で聴けたので、このチェンバーオーケストラの力量や個性を十分に堪能できた。
さて、翌5日は、昼過ぎに同僚の女性の家族写真を六義園に撮りにいき、その後、東京フォーラムに向かって、午後3時からのホールC、「カルト・ブランシュ」という演奏会を聴いた。
日本語に訳せば、「白紙委任状」である。要するに、二人のピアニスト、小曽根真とアルクセイ・ヴォロディンにお任せのコンサートである。一応、モーツアルトの「2台のピアノのためのソナタ」がベースになっていたが(一楽章と、三楽章が演奏された)、ヴォロディンはショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を、また小曽根はピアソラの「ローラズ・ドリーム」をソロで披露、その後、アンコール2曲、レクチーナというキューバの音楽家の楽曲と即興を二人で弾いた。
モーツアルトは、いかにもテンポが速く、しかも小曽根がいろいろな装飾音を即興で入れてくるので、クラシック的ではなかったが、もともと分かりやすい楽曲なので楽しめた。そもそも、小曽根が登場する「熱狂の日音楽祭」でのコンサートは、他のクラシック系のものとは明らかに趣を異にする。即興をベースにしたジャズ風のアレンジだが、今回は、モーツアルトやピアソラのほかにキューバの楽曲なども入っていて、楽曲が多彩だった。ホールは満席というわけではなかったが、「熱狂の日音楽祭」に欠かせない演奏家として、小曽根の存在は貴重である。


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