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写真日乗2017/06/13〜東京リング「ジークフリート」その2〜 [日記]

20170611_dsc7029
撮影:2017/06/11 於:横浜市・鶴見
Nikon D500 AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f2.8 G

「ジークフリート」の日本初演は1980年代ということだから、ワーグナーが苦労してつくりあげた楽劇の本質を、私も含め日本人がどこまで理解しているのだろうかと考えてしまう。

指揮の飯守氏は、「一人の人間が成長していく過程を描いた物語」というが、そのような単純なものではあるまい。魂胆があってジークフリートを育てたミーメという存在、宝を溜め込むファフナーという存在は、人間社会の闇の部分であり、それをジークフリートは躊躇なく殺していく。本当の父親、母親を知らずに育った若者が、ブリュンヒンデというその存在を知る女性と出会うのが、物語の転換点で、それはジークフリートにとっても不幸の出会い、神々の黄昏への序章だ。
よくできた構成だが、ともかく長い。今回の公演では、45分ずつ二回の休憩があったため、午後3時開演で終了したのが、午後8時45分だった。
第一幕こそ、オーケストラの響きに厚みがなく、飯守の指揮にブーイングも出たが、その後、歌手陣の奮闘でリングらしい、緊迫感のある舞台が楽しめた。特に、第二幕の大蛇倒し、小鳥の囀りあたりは、演出、美術も楽しめるもので、舞台芸術の面白さを堪能できた。そして第三幕は、ジークフリートを歌ったステファン・グールドとブリュンヒルデを歌ったリカルダ・メルベートの大熱唱で大いに盛り上がった。バイロイトやウィーンなどでリングの主役を務めているわけではないが、その実力は十分過ぎるほどである。
クラシック音楽を日頃聴く人でもオペラは、チケットを自腹で買い公演に行くのは躊躇するという。しかし、劇場に行き最初にオペラを聴くというのならば、むしろワーグナーの、それもリングの4つのうちの一つを選らぶと良いと思う。ワーグナーの毒でクラシック音楽から抜け出せなくなる人生は、悪くはない。


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