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写真日乗2017/07/15〜東京交響楽団・川崎定期、その1〜 [日記]

20170709l1000569
撮影:2017/07/11 於:横浜市・鶴見
Leica M10 Summilux-M 50mm f1.4 ASPH.

東京交響楽団の定期演奏会を聴いてきた。会場は、本拠地のミューザ川崎である。

今回は、ジョナサン・ノットの指揮で下記の二曲が演奏された。

細川俊夫:「嘆き」
マーラー:交響曲 第2番 ハ短調 「復活」

細川の「嘆き」には、ソリストとしてメゾ・ソプラノの藤村実穂子が加わる。マーラーの「復活」には、藤村に加え、ソプラノの天羽明惠、東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)が加わる。
ノットは、東京交響楽団の定期で積極的にマーラーのシンフォニーを取り上げており、9番、3番は聴いていて、8番は聴けなかった。今回は、大曲の2番だが、この前に細川の「嘆き」が入っていて、さぞかしオーケストラは大変だったろう。
「嘆き」の初演は、2013年、NHK交響楽団の欧州公演、ザルツブルク音楽祭である。音楽祭主催者から細川に委嘱された作品で、メゾソプラノにピアノ一台とハープ二台が絡む。東日本大震災の津波で子供を亡くした母親に捧げられたもの、鎮魂歌である。詩は、ゲオルク・トラークルという詩人の作が使われているが、日本人に作曲家の楽曲であり、日本人の詩人による日本語の詩が選ばれていたら、また雰囲気の変わったものになっただろう。
藤村の表現力は、こうした楽曲で特に際立つ。旋律のない朗読の部分もあるが、その響きが特に心に響いた。弦によるアンサンブルはうねり、まさに嘆きを表現するものだが、それに金管、木管、打楽器などが絡む様は、死せる者たちに、草木、鳥獣が語りかけているような雰囲気である。
因みに、細川は、1955年、広島生まれ。76年から10年間ドイツ留学。ベルリン芸術大学でユン・イサンに、フライブルク音楽大学でクラウス・フーバーに作曲を師事している。欧米の主要なオーケストラ、音楽祭、オペラ劇場等から次々と委嘱を受け、国際的に高い評価を得ている。
そういえば、私は、20年ほど前、ユン・イサンを良く聴いていた。ユン・イサンは、日本統治下、大阪に住み、音楽を学んだが、戦中に半島に戻り、 独立運動にも加わった。戦後はドイツで学んだが、金日生と親交を持ち、韓国からはスパイ扱いされて投獄され、特赦のあと西ドイツに移住、西ドイツ国籍を取得するという数奇な運命を辿った音楽家であった。その弟子が、細川俊夫なのである。


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